「あのね、あたし、友達できたの。ヒィっていうちっちゃい男の子。
家出してるんだって。ヒィのお母さんは“ウワキ”してるの。
“ウワキ”って知ってる?好きな人いるのに他に好きな人をつくっちゃうことなの。
ヒィの顔を見たらそれはいけないことって分かったんだ。」
秘密基地に入り、リビングの椅子に下ろしてもらったあたしはユタに説明した。
説明は苦手だけど、相手はユタだったから安心だった。
ユタだったらちゃんと聞いてくれる。
ユタはコーヒーを淹れ、あたしを見て、相槌を打つ。
「それで哀歌さんは何のあやまちをしてしまったの?」
「ヒィのお母さんと同じことしちゃったの」



