ガラクタ姫


抱きついたらあたしの唇が見えなくて、なんて言っているのか分からないよね。

あたしは抱きついたまま顔を上げて目を見て彼に言った。

「最高の彼氏です」

「ええ!?もぅ彼氏になっちゃったの!?」

「えへへ」

あたしは照れた様に笑うと、彼も「参ったなぁ」と笑う。

幸せだ。

人の温もりがこんな温かいなんて思いもしなかった。

きっとこの人だから温かいんだ。

「ねぇ、名札付けたままだね」

あたしは彼が首から下げている名前のプレートを彼の顔の目の前に見せた。