「だけど…あたしの言葉、通じているじゃない」 「読唇術だよ」 「どくしんじゅつ?」 彼はあたしの唇を指さした。 「唇を見ればなんて言っているのか大抵わかる」 「すごい!」 あたしはぴょんっと塀を下りた。 塀を下りると、彼が意外にも大きな体だということがわかった。 あたしはつい抱きしめてしまった。 「すごいよ。あたしの恋人がそんな凄い技が使えるなんて。かっこいいよ。」 彼は「どうしたの?」と慌てる。 ああ、そっか。