なぜ?
彼は笑う。
いや、今までの人々が笑うような笑い方じゃない、あざけ笑うんじゃない。
優しく、綺麗に、微笑んだ。
「 この世に“ヘン”なんてないよ。“ヘン”を数えたらそれはゼンブになっちゃうんだから。」
「え?」
理解できないあたしに彼は楽しそうに微笑む。
「“ヘン”なんて誰かの先入観なんだよ。
自分が“ヘン”だと思った事でも相手や周りにとっては“普通”な事だってある。
その逆だってあるじゃない。文化、種族、宗教。
細かくいえば、学校の規則や家の家訓、そして自分自身の考え方。
皆、それぞれ違うんだから仕方ないじゃない。」
何を言っているのか難しくて分からなかった。



