会社帰りなのかスーツを着る、若い社会人。 優男でほっそり長身の彼は自分が持っているカバンであたしのスカートの中を隠した。 あたりはうす暗いのに彼の顔が赤いのが分かる。耳まで。 「ねぇ」 あたしは彼の目をまじまじと見て、言った。 「あなたはあたしを見て、最初どんなふうに思った?」 彼は眼をぱちぱちとさせる。 夕方に制服姿で鼻歌を歌いながら塀の上を渡る女子高生。 「危ないっておもった」 彼の答え方が幼稚であたしは彼にならって眼をぱちぱちさせる。