ミモザの呼ぶ声

「美優」

 オレはどきどきして次の言葉を待った。
 オレはすぐ浮ついて、どうでも良いことで頭を占領しちまうが、今回は違う。

「治ったのか? もう、悪夢はみないのか?」

「ずっと、夢を見続けていた気がする。悔しいけどこんな人なら、美優、お兄ちゃんが夢中になっても仕方がないって思う」

「なに言って……これ、おまえだよ」

「うそ。美優、こんなにきれいじゃないもん」

「鏡見たことないのか?」