そうさ、それで終わるはずだったんだ。
 奴の命ごと。
 だが、大学を去る間際、奴は白状した。

「ボク何を描いたらいいのか、わからないんだ。だから、昔撮ったスナップ写真の中でインパクトのあるのを切り売りしてた……」

 そう、それがオレのミモザを退けトップを占めた奴の、最後の台詞だった。いいわけだったんだと思う。どっちにせよ許さないとオレは決めていた。
 そして三年に進級しなかった奴は、引き際を心得ていた。どうやらモデルに転向したらしい、という噂は右から左にスルーした。