約束した今日は、雪が止み、快晴だけど、風が強い。

寒くて寒くて。

寒さに弱い私はかじかむ手を袖に隠して、建物の陰に隠れて風を凌ぐ。

約束の時間になってもやってこないアイツを探して、何度もちょこちょこと陰から顔を出す。


−−早く逢いたくて、早めに家を出たのに。

これじゃあ、普通に出ても良かったかも。


余りの寒さに、張り切ってしまった自分が恨めしい。

寒さに身体が固まって、冷えていくのがわかる。


−−遅れるって連絡ないし、ちゃんと向かってるよね?


少しイライラと不安が混ざりあった頃。

やっと待ち合わせ場所へ現れたアイツを見つけ、無意識に顔が綻んだ。


−−寒さで顔が固まって、表情が出ないって事、ないんだなぁ。


冷静に自己分析してる自分が可笑しい。


片手を挙げて謝りながら、こちらに向かって来る彼に、『寒い中、待った』と一言文句を言ってやろう。