車に乗り込むと、豪はいつものようにあたしの手を握り微笑む。



あたしはその手を"キュッ"と握り返してはにかんでみせた。



「可愛いやつ…」



これが日課になりつつあるあたし達。



豪と過ごして数日が経った。



まだ"あの人"と豪を重ねて見てしまう。



だけど豪はそんなあたしの心を惑わす。



「行くぞ」



「はい」



車は溜まり場へ向かい動き出す。