「あのコ豪さんの何なんすか?」


隣で首を傾げるのは運転手のケン。


「あぁ、あのコ?…うーん…ウサギちゃんかなっ?」


「は?ウサギちゃん?ッスか…」


くくっと笑った俺を、不思議そうに見つめるケン。


「ま、要するにあのコは豪のモノってこと…間違ってもテなんてだしちゃダメだよ?ケンちゃん!」


ぽんと肩を叩くと、びくりとして前を向いた。


「んなことしたら、半殺しじゃ済まないでしょ…」


ははっ、と顔をひきつらせて笑う。


「かもね?俺も気をつけなくっちゃ…」


小さく呟いた俺を、「え?!」とケンがマジマジと見つめる。


「ぶっ、冗談だよ冗談」


「そ、そうっすよね…やだなぁもう、あはは…マジ、冗談ですよね?」