<side KAITO>


「あのコがそう?」

「あぁ…」


土砂降りの雨の中を、傘もささずふらふらと歩く少女がいた。


今にも消えてしまいそうな、そんな…儚い感じがした。


豪から話しは聞いていた、護ってやりてぇ女がいると。


ずっと恋い焦がれてたのは知っていた。


豪は、気づかれてないと思っていたかもしれないけど、本当は知ってたよ。


彼女に会いに行ってたこと。


「行ってくる」


クスッと笑えば「チッ…」と舌打ち。


「早く行きなよ」


路地裏に入り込んだ彼女を追って、豪は慌て車外に飛び出し走りながら傘を広げた。