「待っててくれたの?」



豪に問いかけてみる。



「…あぁ」



少し長めの前髪から覗く漆黒の瞳をあたしに向ける。



「ありがと…」



その眼差しに思わずドキンと胸が跳ねる。



どうしてだろうこんなにも胸がざわつくのは…



無意識の内に、豪と大切なあの人を重ねて見ていたのかもしれない。



雰囲気も眼差しも、はにかんだ笑顔も…温もりさえも。