男が角材を振り下ろした先は、豪ではなかった。



コンクリートの床を叩きつけた男は、角材を投げ捨て振り向き頭を下げた。



「…沢田さんすいません…俺にはできません」



「…………?!」



椅子から立ち上がった沢田は、男の行動に驚きを隠せないでいた。



「もう…無理っす…無抵抗なヤツにこんな…」



苦しげな表情を浮かべる男。



「沢田さん…俺たちいつからこんな卑怯なチームになっちまったんっすか!!」



「俺も…できません」



「俺もです…すいません」



次々に頭を下げる男達。



「何なんだよお前ら…」



沢田はずかずかと歩き男を押しのける。



角材を拾い上げると、わなわなと腕を震わせた。



「のけっ…お前らがやらねぇんなら俺がやる…」