「…や…めて…」



男達は薄ら笑いを浮かべ、ゆっくりと豪に近づいていく。



片手に角材を持つ男もいる。



これから何が起きるか、馬鹿なあたしにだってわかる。



あたしの為、あたしのせいでみんなが、豪がライズが――危機を迎えようとしている。



「おっと忘れる所だった、総長さんが潰れる姿…君達は黙って見ててよ?姫さんが大事ならね…」



沢田はそう言って海斗達に笑って見せた。



「……っ…」



海斗達は奥歯をギリッと噛み締め、こみ上げる怒りを抑えていた。



「俺なら大丈夫だ…ちょっとやそっとじゃやられねぇ」



振り向き海斗達にそう言って、前を向き直すとあたしに微笑む。



「あやめ…んな顔すんな…お前は俺が護るだから安心しろ」



「な?」と優しく笑う豪が、涙で滲んで霞んでいく。