「……悠く…」



あたし達のやりとりを、離れて見ていた未歩が彼に声を掛けようとした。



すっと未歩の方に向いた彼は無表情で、冷たい瞳をしていた。



そして冷たいその瞳を向けられた未歩は、びくっと身体を震わせると口を噤んでしまった。



あたしに向き直った彼が喋り出す。



「なぁ…何で未歩がここにいると思う?」



「…え」



くくっと笑った彼は、立ち上がり怯える未歩の肩を抱いて言った。



「こいつ…オレの言うこと何でもきくの…な?未歩ー♪」



「……っ…ゆう…」



「オレの為にあんたを裏切ったのコイツ…悪い女…」



「きゃっ」



ドンと未歩を押すと、「出てろ…」と低い声で言いドアの方へと目をやった。