「よかったの?行かせて…」



海斗がポンと豪の肩に手をやり、あやめの後ろ姿を見つめる。



「あぁ…」



「ふっ、そっかならいいけど」



そして2人は黙って、遠ざかるあやめを見つめていた。



一方で龍也と葵が、さっき送り出してやった筈のあやめが、こちらに近づいてくるのを静かに見守っていた。



「どうした…気でも変わったか」



龍也がクイッと口角を上げる。



「あたし2人に…ううん、″アッシュ″のみんなに言って無かったから」



「言って無かったこと?」



葵と龍也がなんだと顔をしかめ、まだ殺気立つ″アッシュ″の面々もあやめに顔を向ける。



向けられた視線に圧倒されたが、深呼吸して前を見据えた。



「仁兄は今でも、あたしにとって大切な人に変わりないです…お兄ちゃんだから…そんな兄が大切に守った″アッシュ″を意志を受け継いでくれてありがとうございます!!」



そしてあたしは彼等に、深々と頭を下げた。