「あやめ…マジでみんな心配したんだ」



「ふぇっ…っ…うっく…ごめ、ごめんなさい…っ…」



次から次に溢れる涙を、そっと指で拭うとあたしを腕に閉じ込めた。



「お前の泣き顔…誰にもみせたくねーから」



「…うっく…ご…うっ…」



「うっわ、でたよ豪の独占欲が!!」



「ホント独占欲の塊だね…」



翔太と海斗が後ろで言ったけど、豪は知らんぷりであたしをぎゅうぎゅうと抱き締める。



「くっ…くるしーよ豪!」



なんとか腕から逃れて、あたしは豪を見つめた。



「豪…あたしあの2人と話してくる」



背を向けたあたしの腕を、パシっと豪が掴む。



「…あやめ」



「大丈夫…少し話すだけだから、ね?」



仕方なく豪があたしの腕を解放する。



「少しだけ…だぞ」



「わかった」



にこっと微笑んだあたしに、豪は「行ってこい」と、背中を押した。