「そんな状態で言ったんだ"あやめを頼む"…ふっと笑ってアイツはそれきり目を覚まさなかった…言われなくても守るさ…俺だってずっとあやめを見てた…ずっと」



「…豪」



切なく揺れる漆黒の瞳。



「豪はさぁ、仁に頼まれたからあやめさんを傍に置くの?…それとも…」



葵が、チラリと豪に視線を飛ばしながら喋る。



「違う…それだけじゃねぇ…俺はあやめに惚れてる…好きな女を傍に置きてーのは当たり前の事だろう?ましてやずっと欲しかったんだ…やっと手に入れたのにぜってー誰にも渡さねぇ…例え誰であってもな」



堂々と言ってのけた豪に、龍也がふっと笑みを浮かべあたしに顔を向けて言った。



「だそうだ…お前の心はもう決まってんだろ?いや…最初から決まってたか」



「えっ…」



「そうだね…豪が来たってわかった時のあやめさんの顔、悔しいけど凄く嬉しそうだったからね」



ポンと肩を叩きニコッと微笑んた葵。



2人は豪に向き直ると、あたしを前に立たせた。