「ありがとう」


微笑む先輩にまた私の体温が上がった。


「なあ夏休みやっぱりどっか行かない?」


「えっ?でも…紘一さんに頼まれたからでしょ…?」


首を傾げる。


もうそんなことしてくれなくてもいいのに…。


「頼まれてないけど…?あっもしかして何か誤解してる!?違うよ?俺が個人的に遊びたいだけだから!!」


私の勘違いを慌ててとく先輩がほほえましかった。


それってつまり…。


先輩は“私”と遊びたいってことだよね…?


「いいですよ」


なんか嬉しいな―…。


「楽しみにしてる。じゃあね!!」


先輩は嬉しそうに手を振って帰っていった。


先輩の後ろ姿を見て、


私は気づいてしまった。






好き…なのかな…?




先輩のことを考えると胸がぎゅーと締め付けられる―…。


優しく笑いかけられると顔が真っ赤になる。


これが好きってことなのかな…?


切なくて、嬉しくて、少し楽しい―…。


私の心の中は初めての恋に対する喜びで溢れていた。


そう…この時は…


恋がこんなにも苦しいものだったなんて、


ちっとも気づいていなかった―…。