私と愁とお父さんは夏輝さんを見送った。
帰り際、愁のお父さんは私にこんな事を言った。
「愁をよろしくお願いします」
やっぱり抱き合ってたんだからわかるよね…。
お父さんは私達に手を振って仕事に戻っていった。
「ねえ…愁…?」
「何?」
私達は空港の窓から空を見上げ、手を絡ませ合った。
「私…思うんだ…。この世界には何十億っていう人がいるけど、たった1人の人に巡り合うって凄く幸運なことなんだよね…」
愁は私を見て微笑んだ。
「そうだな…俺も美弦に出会えたこと…感謝してる。だから…」
「「ずっと一緒にいようね?」」
見事に声が重なって私達はお互いの顔を見ながら笑った。
「ったくこの馬鹿っ!!何で空港で迷うんだよ!!」
「うっさ―い!!私の唯一の弱点なんだから大声で指摘しないでよ!!」
遠くではそんな会話が聞こえた。



