桜の花びらが真新しい制服に纏わりつく。


肩に落ちたそれを摘み、地面に落とすと校門をくぐった。


今日は私の入学式。


紘一さんが私に通わせてくれたのは言わずと知れた超有名お金持ち高校…。


なんでこんなところに来ちゃったんだろう…。


通わせてもらえるならどこでもいい。


そう言ったのは確かに自分だ。


だからってこんなところにしなくても――――っ!!


“美弦が誘拐されたら大変だからセキュリティがしっかりしたとこじゃないとねっ!!”


届いた制服を私の前で左右に揺らしながら鼻歌を歌う紘一さんの様子が思い出される。


まったく過保護なんだから…。


まあそんな過保護な保護者さんは今日の入学式には欠席らしい。


相楽さんが朝から無理やり会社に連れてったからねっ!!


一番大きい建物である講堂へと向かう。


校庭は私と同じ1年生でごったがえしていた。


あっ!!あの人この間雑誌に載ってた!!


うわあ~!!


顔、小さ~いっ…!!


テレビや雑誌でしか見たことのないような人が他にもわんさかいた。