「愁とお兄さん…仲直りできないのかなぁ…」
美弦はしょんぼり肩を落とした。
「高屋家の相続問題だからね。後継ぎ候補が仲よかったら、それはそれで複雑よ?」
私は一気に紅茶を飲み干した。
「…私、なにもできないな…」
ますます気分が落ち込んでいく美弦の肩をぽんっと軽く叩く。
「あんまり落ち込まないの。高屋先輩には美弦がいるじゃない」
…それが唯一の救いなのかもしれない。
「帰るの…?」
ハンガーからコートをはずし始めた私に向かって美弦がそう声をかける。
「夕飯作んなきゃいけないの」
庶民の宿命ってやつ?
「ごめんね。忙しいのに呼び出して…」
玄関まで私を送りにきた美弦が申し訳なさそうに言った。
「こっちこそ、ごちそーさま。また来るね」
手を振る美弦に微笑んで私は高梨家を後にした。



