「あれ…どうにかしなきゃいけないの…?」
私は顎で紘一さんを示した。
私が社員なら絶対会社辞めるよ、うん。
「っつ―かどうしたの、あれ…」
高梨社長をあれ扱いしながら私は美弦に問いただした。
「…あのね…クリスマスイブに…愁の家に泊まりたいって…言ったら……紘一さん怒っちゃって…ついつい…それで言い過ぎちゃって…あんな感じに…」
そのまま恥ずかしそうに俯く美弦を見て確信した。
「そういうことか…」
とうとうそういう日がきた訳か…。
美弦のために一役買ってやるか。
「紘一さん」
とりあえず呼んでみた。
「グスン…大原ちゃ~んっ!!」
ひぃっ!!
鼻水やら涙やらでグチャグチャな顔が私の目の前にぃ!!
コートにつけれらたらたまらないと猪のように突進してきた紘一さんを思わず身を翻してかわす。
ドゴンッと壁に穴が開きそうなくらいの衝撃音。
そのまま動かなくなってしまった紘一さんにサーッと血の気が引く。
「こ…紘一さん!?大丈夫ですか?」
慌てて駆け寄ると脚に何かが絡みついた。
「大…原…ちゃん…!!美弦がぁ…!!」
紘一さんはなりふり構わず私の脚に抱きついたままおいおいと泣きだした。
この人、自分をいくつだと思ってるんだ…?



