「…っ…待ってっ!!」


不意打ちのように背中から美弦に抱きつかれ、また理性がとびそうになる。


「違うの…嫌じゃないの…ただ私…初めてだから…こっ怖くて…」


背中ごしに美弦の緊張が伝わる。


「傷つけてごめんなさい…謝るから…どこにも行かないでっ…」


振り絞るように言った声は少しかすれていた。


誰かのぬくもりを欲しがっているのは俺も美弦も同じだ。


だから…惹かれ合った…。


「わかった…どこにも行かない…」


振り返った俺は美弦の頬に手を差し出した。


そしてゆっくりキスをする。


嫌がられたらどうしようかと思ったけど美弦はすんなり受け入れてくれた。


「愁…」


俺の腕の中にすっぽりおさまった美弦はだいぶ落ち着きを取り戻していた。


「何…?」


美弦の髪を撫でながら問い返す。


「クリスマス…愁の家…来ていい…?」


「美弦…それは…」


「ちゃんと…!!覚悟してくるから…」


そう言って真っ赤になって俺の胸に顔を押しつける。


「楽しみにしてるよ…」


クリスマスまであと3週間。


とりあえず美弦が赤点とらないように真面目に勉強教えるか。


焦がれてやまない愛しい彼女を胸に抱きながら、俺は気づかれないようにそっとため息をついた。