「やあ…!!」


自分の世界にどっぷりはまっていた俺を呼び覚ましたのはやっぱり美弦だった。


「美弦…?」


「しゅ…わた…し…」


美弦の体は小さく震えていた。


首筋についた赤い所有印が痛々しかった。


なにやってんだ俺…。


わかっていたはずだろ…?


俺が美弦を欲しいって思うのと同様に、美弦にも俺が欲しいって思ってもらわないと…。


虚しいだけだろ…?


俺が欲しいのは体だけじゃない。


美弦の…心が欲しい。


このまま無理矢理ものにしたって意味がない。


そんなことわかりきっていたはずだろ…?


「ごめん。俺、最低だ」


俺は美弦を解放し、きちんと服を直した。


自分に吐き気がする。


俺は自分のしたことが見ていられなくて目を逸らした。


「愁っ…あの…私…」


自分のブラウスを握りしめたまま美弦が何か言おうとする。


「いい。俺が全部悪い」


俺がそう言うと部屋に沈黙が流れた。


どんな理由があるにせよ、相手の気持ちを無視してあんな事をしようとした。


頭を冷やせ。


「出掛けてくる」


これ以上一緒にいたら同じことを繰り返してしまいそうだ。


俺は玄関へと繋がる扉に手をかけた。