「愁、コンビニ寄っていい?」
「ん?いいよ」
放課後、美弦が家で勉強するため一緒に帰る。
今のところは理性の方が優勢。
「ねえ、どっちがいい?」
ジュースを指差し俺に問いかける。
背が低い美弦は自然に上目遣いになる。
それだけで俺の理性が壊れそうだ。
「右のやつ」
わかったと言って美弦がレジに走る。
その後ろ姿を見ながら大きく息を吐く。
俺、耐えられるのか…?
いや、耐えなきゃいけない。
無理強いはしたくない。
美弦の気持ちを大事にしてやりたい。
「お待たせ」
俺はレジ袋を持った美弦が戻ってくるまで戒めのように自分に言い聞かせた。
「うわあ…。綺麗に飾りつけされてるね…」
駅前の広場には大きなクリスマスツリーが早くも登場していた。
赤や青などの電飾で彩られているツリーは美弦だけでなく他の通行人の眼も引きつけている。
眩しいツリーと同じくらい美弦の眼が輝いていた。
わかりやすい。



