額にヒヤリとした何かがあたる。
体の熱と正反対の温度を持ったそれを乗せられビクンと少し体が揺れた。
俺は目をゆっくりと開けた。
額に手をやるとそこには冷却シートが貼ってあった。
誰が…?
ベッドに投げ出していたはずの体は布団の中に収まっているし、よく見れば放り出してあったカバンがキチンと端に片付けてある。
自分以外の人がいる気配が満ちていた。
俺はのろのろと体を起こし、リビングへと続くドアを開けた。
「愁?起きて大丈夫なの?」
「み…つる…?」
俺は自分の目を疑った。
美弦は冷蔵庫になにやら食材を入れている途中だった。
なんで美弦が俺の家のキッチンにいるんだよ?
「なんで…」
「えっと…匡人先輩が愁の具合が悪いから薬持ってって欲しいって…」
「もしかして帰りに匡人に電話した?」
「うん。何かいけなかった?」
っていうことはあの電話は美弦だったのか…。
よく考えれば分かるはずだった。
匡人がわざわざ自分から薬を持っていくなんて言わないよな!!
俺ははめられた気がして頭をかきむしった。



