「だる…」
着替えもせずにベッドに倒れこむ。
耐えがたい疲労が全身を襲っていて今にも眠ってしまいそうになる。
ダメだ…。
今寝たらきっとまた思い出したくない昔の夢を見る。
頭では分かっているのに体は思うように動かない。
段々と瞼が下りてきて視界が悪くなる―…。
必死の抵抗も虚しく、俺の意識はまた過去の風景の中に溶けていった―…。
耳障りだった。
「ねえ?」
例えば女の鼻にかかるような甘えた声。
そしてそれに伴うスキンシップも。
「あたしと遊ばない?」
遠まわしな言い方しやがって…。
シタイならシタイって言えばいいんだ、まどろっこしい。
でもそんなことは口にしない。
これで今夜の相手は確保できる。



