愁に元気(?)をもらった私は紘一さんに会うための気合い十分だった。
「って家…?」
なんとなくやる気が殺がれた。
愁が連れてきたのは家の門の前だった。
「そっ。さっき美弦の家に行ったら紘一さんが居てさ。“美弦がいないー”って叫んでたから探しに行ったんだよ」
紘一さん帰ってたんだ…。
「美弦。入るぞ…?」
私は大きく息を吸った。
「うん」
紘一さんにどんなことを言われても私は大丈夫。
きっと笑ってお別れが言えるよね…?
「美弦ぅぅ~!!会いたかったよっ!!」
私は家に入るなり紘一さんにガバッと抱きつかれた。
鬱陶しいと敬遠していたこの行為ももう最後なのかと思うと嫌がることすらも出来なかった。
「紘一さん、愁も居るし…とりあえず離して…?」
「…なんだ…居たんだ…」
紘一さんはあからさまに不機嫌になった。
私の隣にいた愁にやっと気づいたらしい。



