「ここはゲストルームで、あっちは…」
前を歩く紘一さんの話なんてさっきから半分も耳に入らなかった。
いつ切り出そう…?
私の頭はそれだけで一杯だった。
「美弦~聞いてる?」
「ふぇっ?」
「やっぱり聞いてない…」
紘一さんはため息をついた。
「ごめんなさい…」
ばつが悪くて俯いた。
せっかく一生懸命説明してくれたのに悪いことしちゃった…。
「怒らないから言って?どうしたの?」
紘一さんはわざわざ屈んで同じ目線になってくれた。
私は少しだけ迷ったけどはっきり言った。
「聞きたいことが…あるんです…」
私は真実が知りたい―…。
他の誰でもない。
紘一さんの口から聞きたい。
「わかった。廊下じゃなんだし俺の部屋に行こうか?」
紘一さんは今しがた来た方向へと歩き出した。
私もその後ろを大人しくついて行く。
背中からでは紘一さんが何を考えているのかまではわからなかった…。



