「あのなぁ!!自分の彼女を不特定多数の男の前に晒して嫌がらない奴がどこにいるんだよ?」
「す…すいません…」
そんな真顔で怒んなくても…。
「気をつけろよ…美弦は見てて危なっかしいんだよ…」
愁は私を膝の上にのせて、ぎゅっと抱きしめてくれた。
うん…やっぱりこの腕の中が一番ホッとする…。
「あのね…愁…」
私は顔を上げた。
「なに?」
「私…怖かったの…。愁が何で私と付き合ってるのかよくわかんなくて…ずっと悩んでた。でもね…もういいや…」
愁の腕の中にいられるだけで満足しちゃった。
どうやったって愁には敵わない。
私って単純…。
「…俺はさ…」
その時、一際強い風が吹いた。
髪が揺れる。
愁の香水が香る。
木々の音が私の耳からはなれた頃になって愁が不意打ちのように囁いた。



