「誰もいない…」
中庭は校庭と違って静まりかえっていた。
愁もいない。
ここまで走ってきた疲れがどっとでてその場にへたりこむ。
意気込んで来たものの肝心の愁がいないと話にならない。
どこ行っちゃったんだろ…?
他に心当たりなんてない。
携帯もカバンの中だ。
困った…。
ひとり、腕組みをして考える。
やっぱりもう一回匡人先輩に聞いてみようかな…?
よしっ!!そうしようっ!!
何となく方針が決まったところで私は立ち上がった。
くるっと回転してもときた道を戻ろうとする。
あれっ…愁…?
見覚えのある姿に吸い寄せられる。
私は校舎の壁に寄りかかって寝ている愁を発見した。
よかった―…。
やっぱりここにいたんだ!!
すぐさま愁に駆け寄る。
しかしすぐにピタッと動きを止めた。



