「どうしようもないくらい好きなんだよ、あいつは美弦ちゃんが。誰の目にも触れて欲しくないほどね」
どうして不器用な想いほど相手に伝わらなんだろう…。
愁にこんなに大事にされてるなんて思ってなかった。
目頭が熱くなる。
私ばっかり好きでこの気持ちは重いんじゃないかってずっと思ってた。
愁が好き過ぎて不安で一杯になって、肝心な自分の気持ちを伝えられなかった。
今、無性に愁に会いたい。
会いたい―…。
会って、ごめんねって素直に言いたい―…。
不安も全て曝け出して笑い合いたい。
「匡人先輩…愁がどこにいるか知ってますか…?」
なんだか居ても立ってもいられない。
今すぐ会いたい。
「んー?多分中庭かな…?あいつ去年もさぼったし」
匡人先輩は2杯目のコーヒーを淹れていた。
「ありがとうございますっ!!私もさぼるんでお願いしますっ!!」
慌てて生徒会室から出て行く。
匡人先輩は走っていく私に椅子から軽く手を振っていた。
「ホント…不器用な奴ら…」
そう呟いていたことは誰も知らない…。



