「与えたいんです…愁が与えてくれたものと同じくらいっ…私も何か愁に与えてあげたいんですっ…」
最後の方は多分聞き取れなかった。
貰うだけじゃ嫌だ。
私も何か与えたい。
「しゅ…うが…好きで…たまらないんです…でも愁が…何で私のことが好きかっ…わからなくて…怖くてっ…」
嗚咽が洩れる。
私じゃ駄目なの?
悔しくて悔しくてたまらない。
「わかった…もういい…わかったよ…」
匡人先輩は私の頭をポンッと叩いてハンカチを差し出した。
私はハンカチを受け取り顔を拭いた。
「ごめんなさい…こんなこと言っちゃって…。でもずっと心に引っかかってたんです…。愁にとって私ってなんだろうって…」
ずっと思ってた―…。
澤村さんにあんたはふさわしくないって言われてから。
先輩は私から窓の外に視線を移した。
そこには大量の人だかり。
そう言えば今日って文化祭だったっけ…。



