「じゃあ何で?」
匡人先輩にこんなこと言っていいのか私にはわからない。
でも…誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
「最近、私…経済雑誌を読み始めたんです」
紘一さんの家にはそういう類の雑誌は山ほどある。
「へぇ…」
「読んでると必ずって言っていいほど高屋家の話題が載ってて…。愁はすごい人なんだなって実感するんです…」
匡人先輩は黙って私の話を聞いてくれた。
「私…不安なんです…愁は…私に…甘えていいって言ってくれた…」
嬉しかった…。
今まで人に甘えたり弱音吐いたり…素直にできなかったから。
本当に嬉しかった―…。
「でも私が愁に与えられるものなんて何もないじゃないですか…?愁に頼って依存して、こんなんじゃ…いつか…いつか捨てられるんじゃないかって…っ…」
凪ちゃんみたいに頭も良くない。
他の女の子みたいに可愛くない。
お金だって持ってない。
どうして愁は私と付き合ってるの?



