さっきから失礼なくらいに見られてる気がする…。
控え室っていってもただの空き教室だから互いの様子は丸見え。
着替えられない…。
不躾な視線は私に着替えさえも躊躇わせた。
あらかじめ用意された衣装は目に眩しいくらい白かった。
「美弦、トイレで着替えてきな?」
凪ちゃんは他の出場者をチラリと見ると、わざと彼女達に聞こえるようにはっきりと告げた。
「うん…ありがと…」
私はお礼を言うと視線の呪縛から逃れるように控え室から素早く姿を消した。
怖いよお…。
私は廊下で1人ため息をついた。
きっとあの人達は愁と私が付き合ってることを知ってるんだろうな…。
あんな悪意のある視線を大量に浴びせられたらたまらない。
平常心…平常心!!
自分に言い聞かせトイレで手早く着替えを済ませる。
再び廊下にでると今度は誰かにぶつかった。
「っ…ごめんなさい…」
「美弦?」
よろけた私の腕を掴んで支えてくれたのは愁だった。



