「お前なぁ…」
愁は匡人先輩に今にも殴りかかろうとする。
喧嘩の原因がはっきりしている以上、黙ってはいられない。
「愁…落ち着いてよ…っ!!私がでれば問題ないんでしょ?」
愁の制服を掴む。
私なんかのことで喧嘩しないでよ…。
「ほら、美弦ちゃんもこう言ってることだし。お前も諦めろ」
匡人先輩は愁に乱された制服を直した。
愁の眉間のしわが濃くなった。
「紘一さんが聞いたら嫌がらないか?」
愁は奥の手とも言える紘一さんの名前を出した。
匡人先輩は勝ち誇ったようにニヤッと口の端を上げた。
「念のため電話したら泣いて喜んでた」
紘一さん…そこまで喜ばなくても…。
ついつい脱力してしまう。
「やっぱりだめだっ!!紘一さんが許しても俺がダメだっ!!」
愁もどうしても譲ろうとしない。
そのまま睨みあう。
2人の只ならぬ様子に遠巻きに見守る人が増えていた。
間に挟まれた私までも注目を浴びる。



