「愁の…っ…利用価値ってなによ!!」
私は渾身の力をこめて澤村さんの腕を引き剥がした。
悔しかった。
みんながみんなそのことばかりに気を取られて本当の愁のことなど見ようとしない。
それじゃあんまりだ―…。
「愁のこと…知らないくせに勝手に決め付けないで!!」
全然…わかってなかった。
凪ちゃんが前に話してくれたこと。
こんな人たちばかりに囲まれて愁はどんな想いだったんだろう…?
どんな想いで接してきたんだろう…?
自分を偽って…。
「うるさいわね、あなたも同じでしょ?金が目的で彼に近づいた。違う?」
バチッ!!
私は澤村さんの頬を叩いていた。
「何すんのよっ!!」
澤村さんは私が叩いた頬に手をあて睨みつけた。
「あなたは間違ってる!!人の価値はお金や身分や権力なんかじゃない…!!どうしてそんなことがわからないの!?」
負けない…!!
そんなこともわからないの人に私は負けない!!



