「凪ちゃんどこ行く~?」
帰り支度をしながら相談。
「この間、新しいケーキ屋が出来たらしいんだけど…」
「ケーキ屋さん!?行きたいっ!!」
「よし!!じゃあ、行くか」
澤村さんのことは気がかりだったけど久々の寄り道はワクワクする。
私達は揃って教室をでようとしたが、先に凪ちゃんの携帯が鳴った。
「凪ちゃん携帯鳴ってるよ?」
「誰だろ…?もしもし?」
凪ちゃんの顔がみるみる嫌そーな表情に変わる。
「…本当ですか?……わかりました…すぐ行きます…」
通話を終えた凪ちゃんははあーっとため息をついた。
「誰…?」
「んー?横暴生徒会長」
ああ…匡人先輩ね…。
「ごめんっ美弦!!ちょっと生徒会室行ってくる!!先行ってて?すぐ戻るからっ!!」
珍しく申し訳なさそうに謝る。
「わかった~。靴箱にいるね!!」
「すぐ戻るから~!!」
そう言って凪ちゃんはパタパタと廊下を走って行った。
ひとり取り残された私は靴箱に向かった。
ケーキ屋さん楽しみだな~♪
自然と足取りも軽くなる。
私は…浮かれていたんだ―…。
頭のどこかでは警鐘が鳴っていたのに…。
普通の日常が戻ってきたんだと…浮かれていたんだ―…。



