「澤村のことはなんとかする。だから美弦は心配するな」
抱き締める腕に更に力がこもった。
でも私はあえて愁の腕を引き剥がす。
「愁…私のこと嫌いになったんじゃないの…?」
「はあ?何で?」
いきなり腕をはがされた愁は不満そうだった。
「何でって…私…面倒臭い女じゃん。澤村さんに嫌がらせされてるし、すぐ泣くし…」
あ…自分で言ってて虚しくなってきた…。
「澤村のことは俺がそもそもの原因だし。あいつは中学の時から俺と匡人につきまとって正直迷惑してんだよ。それに…」
愁が舌で私の涙を拭った。
「泣いてる美弦は可愛いからほっとけない」
涙もすぐさま引っ込んだ。
「~~っ!!」
絶対わかっててやってるよねっ?
「俺の一番は美弦だから」
「うん…」
愁の言葉に満たされる。
今までの不安が嘘みたい。



