「美弦…いい加減にしてくんない…?」
「ご…めんな…さい…」
目から溢れだす涙を拭う。
嫌われた…。
愁にだけは嫌われたくなかった。
だから怖くて言えなかった。
澤村さんに嫌がらせされてるってわかったら愁は面倒に巻き込まれないように私と別れるに決まってる。
でもどっちにしろ嫌われた。
いちいち泣き出す私なんか面倒だ。
惨めな気持ちだった。
この2週間でつくづく思い知らされた。
私は愁にふさわしくない。
「ホントにいい加減にして…?」
いきなり口調の変わった愁に抱きしめられる。
「…愁…?」
まだ涙が止まらない私は戸惑いを隠せない。
何で…?何で抱きしめてくれるの…?
「いい加減甘えてよ…。紘一さんに聞くまで美弦が苦しんでるなんて全然知らなかった。どれだけ悔しかったかわかんないだろ?」
いつもの愁だ―…。
なんだか嬉しかった。



