「…愁っ…んんっ…?!」


どうしよ…息が…できないっ…。


もがけばもがくほど愁の腕に力が入る。


顔を逸らせばいいのだけれどそれも許されない。


少し長い無音の時間。


愁はゆっくりと唇を離した。


「ごめん…ちょっとカッとなった…」


手首から手を離した愁は私から顔を背けた。


「愁…?」


「ごめん。俺、美弦のことだと理性がきかない」


私は愁の顔を両手で包み込んだ。


「謝らないでよ…。私の方が悪かったし…」


愁はギュッと抱きしめてくれた。


「もっかいしていい?」


「うん―…」


今度は軽く触れるくらいのキス。


仲直りの印。


「帰ろっか?」


「うん…」


ふわふわとした気分で頷く。


私達は仲良く学校を後にした。


















……この様子を見ていた人物がいることには全く気がつかずに。