「美弦っ!!」
名前を呼ばれて声のするほうへ顔を向ける。
「愁…?どうしたの…?」
「具合悪そうだったし、送ってこうと思って」
ふいにさっきの出来事が頭をよぎる。
何もされなかったけど後ろめたかった。
「大丈夫だよ…」
声のトーンが落ちてしまったのが逆効果だった。
「大丈夫じゃないだろ?そんな元気がない声で言われても説得力ない」
愁の物言いに叱られた気分になってくる。
「大丈夫だって!!」
こんな私の様子を見かねた凪ちゃんは私の耳に口元を近づけてくる。
「美弦大丈夫だよ。会長がね?帰り際に「あの子は合格」って言ってたから。最初から美弦を試す気だったんだよ。後ろめたいなんて思う必要ないわよ」
目を丸くしているとニコリと微笑む凪ちゃんと目が合う。
「高屋先輩しっかり送ってくださいね~」
言いたいことだけ言うと凪ちゃんは私達を置いてさっさと帰っていった。



