「会長、彼女を離して頂けますか?」
匡人先輩の動きが止まった。
ホッとして涙が出そうになる。
「凪…ちゃん…」
カーテンの布からは今までにないぐらい厳しい表情をした凪ちゃんが腰に手をあてて立っているのが見えた。
「冗談だよ、大原さん。そんな怖い顔しないで?」
匡人先輩は何事もなかったかのようにベッドから下りた。
ニコッと笑った顔は怖いくらいに綺麗だった。
「会長が冗談でも親友の彼女に手をだせるなんて知りませんでした」
凪ちゃんは匡人先輩を軽蔑するように睨む。
「怖いなあ~。もう何もしないよ?」
それだけ言うと匡人先輩は凪ちゃんの耳元で何か囁いて出ていった。
凪ちゃんははあーっと長く息を吐いた。
「美弦、大丈夫?」
私はベッドから下りて凪ちゃんに抱きついた。
「凪ちゃん…っ…!!」
怖かった…っ…!!
ホントにキスされるかと思った…!!



