「すき」
先輩の足がピタッと止まった。
今…なんて言った…?
自分で自分が信じられない。
「すき」とか言った!?
後になって口を覆い隠す。
でももう遅い。
先輩の驚愕の表情がそれを物語っている。
どっどうしよう…!!
「あの…えっと…これは…その…」
なんでこんなこと言ったんだ自分ーっ!!
焦れば焦るほどパニックになる。
誤魔化せっ!!
もう死ぬ気で誤魔化すんだ―――っ!!!
「そうっ!!今日見た映画がすきっていう意味で!!だから先輩と出かけるのも楽しくて好きだっていう意味で「ック…フハハハ!!」
私のみっともない言い訳は先輩の笑い声にかき消された。



