「楽しくなかった…?」
いつの間にか先輩は数メートル先を歩いていた。
「えっ…?」
「今ため息ついてたでしょ?」
バレてるし…。
「そんなことないですっ!!」
焦った私は慌てて取り繕った。
「じゃあなんでため息ついてたの?結構傷つくんだけど…」
まさか自分の魅力のなさにため息ついてましたなんて言えないよね…。
「ごめんなさい…」
結局、気の利いたことが言えず謝るしかなかった。
俯く私に先輩は優しかった。
「いいよ。もうため息つかないでね?」
笑ってポンポンと頭を叩いてくれた。
どうしよう…。
それだけのことなのにたまらなく嬉しい。
私…やっぱり愁先輩が好きだ―…。



