「やっぱり危ないでしょ?」
耳元で声が聞こえる。
私はすっぽりと先輩の腕の中におさまっていた。
「せっせっ先輩!?」
どっどっどうしたらいいの~!!
「んー?ちょっとだから我慢してね」
ちょっととかそういう問題じゃなくてっ!!
先輩の胸に顔をうずめたまま頭は大混乱。
距離がっ!!顔が!!近いっ!!
狭い電車内で離れることもできず、もがく。
お願いだから早く着いてぇー!!
私の心臓が保たない!!
先輩の体温と香水の匂いで頭がクラクラする。
どうしよう…先輩の香りに酔ってしまいそう―…。
「美弦ちゃんっていい匂いするなぁ…」
先輩はクスッと笑いながら私の頭に手を置いた。
髪に触れる指先が熱い。
この人のすることすべてに惑わされる。
どうしてこんなにも好きなんだろう?
切なくてもどかしくてたまらなくなる。
私は先輩に振り回されてるのに先輩は今顔色ひとつ変えてない、変えてくれない。
先輩に気持ちを悟られるんじゃないかって気が気じゃない。



