「はい、切符」 夏休みのせいか、平日にもかかわらず駅の中は人でごった返していた。 きっとひとりだったら買えなかったな…。 「ありがとうございます」 切符を受け取る。 優しいなー先輩は。 先輩の気遣いに頬が緩む。 「美弦ちゃんさ…」 そんな私の様子を先輩がまじまじと見る。 「はい?」 首を傾げる。 「なんでもない」 愁先輩はなにか言いかけてそのままやめてしまった。 「行こう。もう電車来るし」 「あっ!!ハイ!!」 私は先輩の後ろを慌てて追いかけた―…。