夕方、帰ってきた奏のお父さんにも挨拶した。



奏のお父さんも喜んでくれて、あたしは恵まれてるんだなぁ、と改めて思った。



「奏・・・」

「ん?」

「妊娠したこと、きちんと受け止めてくれてありがとう」



一緒にあたしの家までの道を歩いてるとき、あたしは奏にそう言ってニッコリ微笑んだ。



少し照れたような顔を一瞬した奏は、あたしにキスをする。



「へへっ・・・」

「久留巳って可愛い」

「へっ!?」



奏がいきなりそんな事を口にした。



奏ってそんな事言う人じゃない。



「どうしたの?」

「改めてそう思っただけ。俺って普段そんなに思ったこと口にしねぇから、ちゃんと伝わってのかって思って」




奏の、その言葉だけで十分だ。



「ちゃんと伝わってるよ。でもたまには、そんな風に素直に言ってね?」

「・・・ん」



あたしは奏が好き。



1回の過ちでこうなって。



それでよかったと今では思ってたりもする。



子供ができれば奏は逃げない、とか思っちゃったりとかもするけど。



これから2人で頑張っていこうと思う。