「……はぁ。」
楽屋には僕だけ。
……大翔は、今頭の中が龍のことで一杯だから、忘れてるだろうけど
きっと、昨日里奈と遊びに行った僕にも、尋問をしてくる。
……否定しなくちゃいけないんだけど、
否定したくないと思う僕もいる。
……どうしよっかな。
……そう思っていると、携帯が鳴った。
「もしもし?」
「よかった!りょうくん、出てくれて。」
「里奈からの電話だもん。生放送のとき以外なら出る〜。」
これはそうでありたいっていう願望だけど。
「どうしたの?」
「あのね、卓哉くんのファンだって言ってた私の友達に、私たちのこと言ってもいいかな?」
……えっ?
「……僕たちが付き合ってるって?」
「……うん。」
……そっか。止めたほうがいいのかもしれないけど。
「……あのね、実は僕、光樹には話しておきたくて、昨日話したんだ。」
僕も里奈に内緒で光樹に話しちゃったし。
「えっ!?光樹に?」
「うん。光樹は僕にとって一番の親友だから、知っておいてほしくて。」
……あっ、きっと里奈、光樹がどんな反応だったか心配してる。
「光樹……喜んでくれてたよ。」
「そっか……よかった。」
やっぱり。
「だから、もしその友達が里奈にとって、僕にとっての光樹みたいな存在なら、僕は止めないよ。」
「……りょうくん。ありがとう。」
「……お互い様だよ?」
……この世に、僕たちが付き合ってることを言える人がいないなんて悲しすぎるもんね。


